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おすすめ絵本

おすすめ絵本

『まほうの夏』

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1,404円

 子どもの頃、夏に田舎のおばあちゃんちに行くのがとっても楽しみでした。用水路にいる魚を網で捕まえたり、縁側でスイカにかじりついたり、朝の歯磨きは外の水道でしました。外で色んな遊びができる」夏は特別でした。
 そんな夏の様子を描いた絵本が『まほうの夏』(作:藤原一枝・はたこうしろう 絵:はたこうしろう・岩崎書店)です。夏休み、都会に住む兄弟2人は、お父さんもお母さんも仕事で退屈な日々を過ごしていました。そんなとき、田舎のおじいさんか「遊びに来ないか」とハガキが来て、兄弟2人だけで嬉々として田舎に向かいました。すぐに田舎の子と友だちになり、一緒に山に行き木に登ったり、川を渡ってオニヤンマを捕まえたり、夕立の中をズブ濡れで走ったり。たっぷり遊んだあとはごはんがおいしい。今までにやったことがないことを、次々と経験していきます。そして、スイカのタネも遠くに飛ばせるようになりました。チンチン電車に乗って、おつかいもできるようになりました。田舎から帰る頃には、来る前の自分から脱皮したようなスッキリした顔をしています。
 多くの大人の方が、自分の子どもの頃とオーバーラップすると思います。そして、思い出してほしいのです。未知のことにワクワクした日々のことを。ぼくたちの子どもの頃とおなじように、今の子どもたちにもワクワクした夏をすごしてほしいですね。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『ぼく、ニホンオオカミになる!!』

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972円

 最後のニホンオオカミが捕獲されたおは、奈良県東吉野村です。100年以上前のことです。2015年、同村で捕獲110周年をきねんして、「ニホンオオカミ手作り絵本コンクール」が行われました。その時の優秀作品が「ぼく、ニホンオオカミになる!!」(作、絵:マスダケイコ・リーブル出版)です。
 飼い犬のヤマトは、ニホンオオカミになりたいと思っていました。飼い主のおじいちゃんからニホンオオカミのすごさを聞いていたからです。ニホンオオカミは心のやさしいいきもの。ニホンオオカミは一匹の恋人どだけずっと一緒に生きる。ニホンオオカミの鳴き声は山の向こうまで届く。
ニホンオオカミは山のしげみから見守ってくれる。
 あるとき、山の中で道に迷ったヤマトは、さり気なく道案内をしてくれる存在に出会います。絶滅したはずのニホンオオカミ?今も山の中から見守ってくれているの?そして、ヤマトは心に決めました。「ぼく、ニホンオオカミになる!!」
 さすが、最優秀作品です。絶滅したとされるニホンオオカミが、今も東吉野村を山の中から見守ってくれていると思わせてくれる力強さがあります。
 さらに、犬のヤマトが何の躊躇もなニホンオオカミに「なる!」と言い切るストレートな素直さが心地よいです。僕もいつの日か、子どもたいちに「ぼく、しんちゃんになる」と言ってもらえるようにがんばります。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『みつけてん』

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1,944円
 
 言葉がシンプルで絵もシンプル。そんな絵本にじっくりと見入っている子どもたちはシンプルな情報から、とてもたくさんのことを感じとって想像の世界に入り込んでくれています。子どもたちのこういう反応に出会ったとき、思わず絵本に感謝したくなります。
 その絵本が、『みつけてん』(作:ジョン・クラッセン、訳:長谷川義史・クレヨンハウス)です。
ふたりづれのカメがひとつ帽子を見つけます。それぞれがかぶってみると、とても似合います。しかし、帽子はひとつだけ。カメたちはステキな答えを出しました。「見つけんかったことにしよう」と言って、帽子を無視。そばにあっても無視。そのうち夜になってウトウトしてきました。一匹のカメがそっと動き出します。帽子のそばまで行きながら、ウトウトしているカメに、もう寝たかと声をかけます。ウトウトしているカメは、夢を見ていると言いました。どんな夢かというと、自分が帽子をかぶっている夢だと言う。それだけではなく、隣にもう一匹のカメもいて、一緒に帽子をかぶっている夢だそうです。帽子のそばまで行ったカメは、帽子を見つめたあと、夢心地のカメのそばに戻って一緒に寝ました。
 言葉がシンプルなだけに、カメの目線ひとつで、いろんなことを想像させてくれます。読み終えたとき、子どもたちの爆笑はありません。拍手もありません。ただ最後のページをいつまでも見つめています。
いいですねえ。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん
 

『せかせかバービーさん』

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1,620円

 絵本を読んでいて、登場する人や動物に「こんな人いる!いる!」「こんなことある!ある!」と家族や知人を思い浮かべることがよくあります。
 『せかせかバービーさん』(ニコラス・オールドランド 作  落合 恵子 訳 クレヨンハウス)はぼくと息子に当てはまり、「ある!ある!」と強く思いました。森に住むせかせかバービーさんは、いつもよく考えずにせかせかと動いています。かじりかけの木をそのままにしたり、使わない木までかじって倒してしまったり。うっかりヘラジカの足までかじってしまいます。そして、とうとうかじった木を自分の体の上に倒してケガをしてしまいました。
入院中の病院の窓から外を見ると、かじりかけの木がちらかっていたり、小鳥たちが家をなくしたりしていることに初めて気がつきました。
せかせかバービーさんは考えました。体を鍛えて本も読んで謝る練習もしました。そして退院したら、すぐにみんなに謝り、家をなくした小鳥たちに新しい家をつくってあげたり、森をきれいにしました。
 ぼくと息子は、この絵本を読んだあと、顔を見合わせて「よく考えてから動かないとな」と頷き合いました。この絵本のおかげで、ぼくも息子も自分を客観的にみることができたのです。でもやっぱりよく考えずに動いてしましますが(笑)
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『はつゆき』

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1,404円

 ファンタジックな絵本に出会うと、時々なんだか懐かしいような、あったかいような切ないような不思議な感覚になるときがあります。そんな不思議な感覚を体験させてくれるファンタジックな絵本が『はつゆき』(作:西片拓史・岩崎書店)です。
 山と湖にかこまれた村に、今年はじめて雪がふる物語です。二人の子どもが、1年ぶりに船を湖に浮かべて、湖面にこぼれた星屑をすくって樽に集めます。樽の中は光り輝いています。今年は森に探し物に行きます。青白く光るこけを見つけると、ひとつまみ小屋に持ち帰りました。小屋でふたりは、星屑やこけやいろいろなものを鍋に入れて火をかけました。煙突から煙が空にのぼっていきます。東の空がゆっくりと明るくなってきました。この日、しーんと冷たいいつもと違う朝です。朝の始まりとともに空は銀色に輝き始めました。子どもたちは、ひとりまたひとり。大人たちより先に目を覚ましました。何が起きるのかを知っているからです。そう。はつゆきです。
はつゆきが降ったとき、どこかの誰かが降らしてくれていると思えたら、なんだか豊かな気持ちになれそうな気がします。大人も子どもも、それぞれの感覚を味わってみてください。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『でもだいじょうぶ』

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1,598円

 絵本を読み終わってからも、絵本の中に出てくるフレーズを子どもたちが言い合っているシーンに出くわすと、とってもうれしくなります。「おはなしが届いている!」と感じる瞬間でもあります。

 今回、ご紹介したい絵本は、『でも だいじょうぶ!』(作:ジェフ・マック、訳:石津ちひろ・パイインターナショナル)。うさぎとねずみがピクニックに行こうとしたら、雨が降ってきました。うさぎは言いました。「でも、だいじょうぶ!」。雨が降ったら傘をさせばいいんだ。でも、風が吹いて傘が吹き飛ばされてしまいました。うさぎは再び言います。「でも、だいじょうぶ!」。ねずみは次々と起こる大変な出来事に翻弄されます。うさぎは何が起こっても「でも、だいじょうぶ!」。
 さて、この絵本を読むときに、「でも、だいじょうぶ!」のところを、子どもたちが大きな声で一緒に言えるようなリズムで読んでみて下さい。子どもたちの体にこの言葉が入っていきます。絵本を読み終えてから、子どもたちに聞きました。「おともだちがかけっこの時にこけて、泣きそうになってるよ。なんて言ってあげる?」全員が大きな声で「でも、だいじょうぶ!」
続いて、ゴホゴホと無理に咳をして、「あ~、風邪ひいいたかな。しんどいな。なんて言ってくれる?」と聞くと、「でも、だいじょうぶ!」。子どもたちに「でも、だいじょうぶ!」と言われると、本当に大丈夫なような気持になります。
 ステキな言葉をなんのためらいもなく口に出せる子どもたちはステキですね。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『す~べりだい』

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1,080円
 
 読み聞かせの醍醐味は2種類あります。ひとつは、じっくりとおはなしの世界に入り込んでいる子どもたちとの一体感を味わえること。もうひとつは子どもたちと絵本でワイワイと遊びながら、一体感を味わえること。どちらも子どもたちとの一体感を味わえるのが読み聞かせの醍醐味だと思うのですが、今回は子どもたちとワイワイ遊べる絵本を紹介しましょう。
 『すーべりだい』(作:鈴木のりたけ・PHP研究所)です。
ページをめくるたびに、いろんな形のすべり台が出てくるのですが、言葉とすべり台がピッタリなのです。例えば、「すーべりだい」は角度のついた滑る部分がなが~いすべり台。文の大きさまで違っているのです。後ろにいくほど大きな字になっています。あるいは、「すべりだいー」は、低いすべり台だけどなが~い。ページいっぱいに描かれたらせん状のすべり台もあります。このすべり台を読むときは、「す~~~~~~~~~~~~」と息の続く限りがんばります。この絵本は淡々と読んではいけません。面白さが激減します。恥ずかしさを捨てて、強弱をつけてノリノリで読みましょう。
 恥ずかしさを捨てると、読み手は解放されます。
 そして、子どもたちは、ワイワイ、キャーキャー言いながらたっぷりと楽しんでくれます。
子どもたちとの一体感を味わってみてください。気持ちいいですよ。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『かさ』

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1,188円
 
 物も情報もすぐに手に入る便利な時代の今だからこそ、想像しながら自身の内面と向き合うことも必要なことだと思っています。
 文章のない絵本『かさ』(作:太田大八、文研出版社)でそれを味わってみてはいかがでしょうか。女の子が雨ふりの日に傘を持ってお父さんを駅まで迎えに行きます。その様子を絵だけで表現しています。駅まで行く途中、女の子は池の鴨の親子を見つめたり、ショーウィンドウの人形に見とれたり、ほんのちょっぴり冒険気分。そうかと思えば、歩道橋の上をひとり歩く姿や交差点での信号が変わるのを待っている姿は、女の子の心細さを感じます。お父さんとの帰り道は、うれしさと安心感でいっぱい。
 文章がないだけではなく、絵は、墨一色で女の子の傘が朱色で描かれているだけです。にも関わらず、お父さんに会えるうれしさ。ひとりで駅まで行く心細さ。責任感。次々と揺れ動く女の子の心情が、ビンビンと伝わってきて胸がキュンとなります。
 子どもたちには無言のままページをめくるのもよし、問いかけながら読むのもいいでしょう。でもその前に、一人でじっくりと読んでみてください。きっと、子どもの頃の気持ちが蘇って、切なくなると思います。きっと、この本を読んだあとは、子どもにやさしくなれるでしょう。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『よかったね ネッドくん』

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1,512円
 
 「とにかくやってみよう」。そんな気持ちになる絵本があります。『よかったね ネッドくん』(作:シャーリップ・訳:やぎたよしこ、偕成社)です。
 びっくりパーティに招待されたネッドくん。喜んだのも束の間。会場は遠いフロリダだった。でも、友だちが飛行機を貸してくれました。よかったね。でも、喜んだのも束の間。飛行機は爆発してしまいました。
 その後もネッドくんにもいいこと、悪いことが、間断なく降りかかります。「よかったね」と思ったら、「でも、たいへん!」「でも、たいへん!」と思ったら、「よかったね」の繰り返し。そのたびに、ネッドくんは右往左往せず、淡々として流れに身を任せているようにも見えます。そして最後は、とってもステキな結末が待ち構えています。
 さて、翻って我々大人は未知のことに関しては、失敗したときのことを考えて、躊躇してしまうことが多いのではないでしょうか。そんなときはこの絵本を開いてみましょう。大変そうなことも、振り返れば笑い話になりそうだし、何とかなりそうな気になってきます。
 この絵本からは、「未来はステキだよ」というメッセージが送られているように思います。そうだとしたら、われわれ大人が率先して一歩を踏み出してみましょう。そんなワクワク感を持った大人は、子どもたちからしたら、さぞかし魅惑的でしょうね。目指せ!ネッドくん。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『はっきょい どーん』

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1,512円
 
シンプルな絵本が好きです。ステキな絵本がいろいろありますが、今回、ご紹介したいのは、『はっきょい どーん』(やまもと ななこ)・講談社)。
 相撲の絵本です。初めて優勝決定戦に挑むのは、小柄な明の海(あけのうみ)。対する相手は、最強の横綱・武留道山(ぶるどうざん)。明の海が土俵に上がります。武留道山も土俵に上がります。塩をまきます。双方、両手をついて、「はっきょい!」明の海がぶつかります。しかし、大きな手で顔をぱちーんとはたかれます。それでもひるまず、まわしをがしっとつかむ明の海。二人がまわしをつかみあっている絵はいかに武留道山が大きいかが良く分かります。武留道山におされます。明の海の足が俵にかかります。耐えに耐えて・・・。
 さて勝負の行方はどうなるでしょう。土俵上の勝負の様子だけを表現したと~ってもシンプルな絵本ですが、すごい迫力。思わず手に汗、握ります。
 子どもたちは、小さな明の海を応援する子も居れば、横綱・武留道山を応援する子もいます。それぞれ「がんばれ!がんばれ!」とエールをおくります。
 著者は相撲好きだそうです。著者の相撲に対する愛情が、ガンガンと伝わってきます。子どもたちも思わず見入ってしまいます。絵から思いが伝わるというのは、こういうことでしょうね。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『おふくさん』

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1,404円

 特に、『おふくさん』(服部美法・大日本図書)は、隅から隅まで存分に楽しませてくれる絵本です。
 おはなしの内容はこうです。いつもにこにこしている10人のおふくさんが一緒に暮らしています。そこに鬼がやってきました。おふくさんたちは、怖い顔をした鬼に何とか笑ってもらいたくて、あの手この手で笑わそうとするのですが、鬼はなかなか笑ってくれません。しかし、10人のおふくさんによる団体にらめっこには、鬼もたまらず笑い出しました。「笑う門には福来る」を表現している絵本です。このシンプルなおはなしを深めているのは絵です。
 まず、表紙をめくると、10人のおふくさんの名前と特徴が描かれています。本文では、その特徴に基づいた役割を担っているので、それぞれのキャラクターが際立ちます。また、鬼がまだ登場していないのに、よ~く絵を見ると、鬼がすぐそばまで来ていることがわかる箇所があったりもします。とにかく、隅々までしっくりと絵を見ることをおすすめします。そのたびに新しい発見があり、作者の手の込みように思わず笑みがこぼれます。何十回見ても飽きません。
 そうそう。裏表紙だけでなく、カバーに隠れている部分も楽しめるのでお忘れなく。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『地球をほる』

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1,512円

 子どもは時にとんでもないことを思いつき、実行に移します。ぼくの息子たちが小学生の頃、映画「海猿」に感化され、自作の酸素ボンベを作りました。トイレットペパーの芯の先にビニール袋をつけたものです。息子たちは、トイレットペーパーの芯に口を当てて、お風呂にもぐっていきました。結果はどうあれ、すぐに実行に移すのが子どもたちの愉快なところですね。
 『地球をほる』(川端誠・BL出版)にも、思いついたことを実行に移す子どもたちが登場します。地面に穴を掘って、地球の裏側に行こうとするのです。しかし、地球のことを調べたら、中心部はドロドロとけていて、掘り進めない。ならば、斜めに掘ろう。お姉さんのペンフレンドがアメリカのケンタッキー州にいるので、ななめに掘ってアメリカに行こう。この子どもたちの計画に、両親も大賛成。両親は食料や水の補給など、後方支援に当たります。そしてどんどん掘り進めていくと、とうとうアメリカ人の家族の住む家の庭に出ました。
 日本から穴を掘って来たなんて信じられないアメリカ人が、その穴をのぞくと、さらに信じられないものが見えました。思わず “Oh my god!”
 
 思いついたことを、すぐに行動に移してみる。子どもたちのこういう感覚を伸ばしてあげたいですね。そのためには、大人が子どもたちの思いつきに相乗りしてみましょう。きっと楽しいことが味わえますよ。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん
 

 

『きょうはみんなでクマがりだ』

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 1,512円
 
 今夏、ニュージーランドに行って、現地の子どもたちに絵本を読んできました。とっても刺激的でした。さらに、ステキな光景も目にしました。海辺の図書館に行ったときのこと。女性の図書館員が、小学校3年生の子どもたち30人ほどに、絵本の読み聞かせを行なっていました。図書館員は、きれいな声で文章に節をつけながらリズミカルに読んでいました。同じ文章の繰り返しがあるようです。ステキだったのは、30人の子どもたちが文章を同じように口ずさみ、身振り、手振りもつけて楽しんでいたこと。30人の子どもたちがいっせいに絵本の世界に入り込んでいる様子は、本当にステキでした。ついつい日本の小学校3年生の子どもたちと比べてしまいます。あとで、子どもたちや先生に話しかけたら、みんな知っている定番の絵本があるっていいですね。
 その絵本は『We're Going on a Bere Hunt』。家族でクマがりに行く様子が軽快に、愉快に描かれています。もちろん、日本語でも出版されています。『きょうはみんなでクマがりだ』(評論社、再話:マイケル・ローゼン、絵:ヘレン・オクセンバリー、訳:山口文生)You Tubeでは、作者のマイケル・ローゼン本人が、節つき、アクションつきで、この絵本を朗読している映像を見ることができます。
 日本語では、英語のリズムのようにはいかないかもわかりません。好きなリズムで、楽しく読んでみてください。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『びよよ~ん』

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389円+税

 あかちゃん向けの絵本があります。主に0.1.2才を対象としていますが、あかちゃんしか楽しめないわけではありません。
 『びよよ~ん』(村田エミコ、福音館書店)という0.1.2才向けの絵本があります。
かえるがしゃがんだ姿で登場。ページをめくると「びよよ~ん」と跳びあがります。同じような展開で、おさるさん、フラミンゴ、カメレオン、たこ、と続きます。
 この絵本は、0.1.2才の子たちはもちろん喜びますが、使いようによっては小学生も楽しめますよ。
 あるイベントでぼくが絵本を読んだときのことです。参加者は親子で約120名。あかちゃんから小学校5年生まで。やんちゃな小学低学年の子たちが最前列に陣取っていました。「びよよ~ん」を読んだあと、その子たちに「こんなのできる?」と聞いたら、ひとりがしゃがむかっこうをしました。「じゃ、いくぞ!」とページをめくると、「びよよ~ん」と跳びあがってくれました。会場中が大爆笑。こうなると、他の小学生たちも、前に出てやってくれるんですよ。120名の前で「びよよ~ん」と
 赤ちゃん絵本をたっぷり楽しんだ小学生たちでした。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『どうするジョージ!』

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1,512円

 ぼくが、絵本の好きな理由のひとつに、「ちゃんとおわらない」というのがあります。最後のページなのに、必ずしもちゃんと終わらない。宙ぶらりんのままにされた感覚になるときがあります。そういうのが、ぼくは大好きです。想像力をめちゃくちゃかきたてられます。

 さて、今回、ご紹介したい絵本は、「どうするジョージ!」(作・クリス・ホートン、訳・木坂涼、BL出版)です。飼い主のハリスが、犬のジョージに言いました。「ちょっと出かけてくるけど、留守の間、いい子にしていられるかい?」ジョージは「もちろん!」と答えます。ところが、いい匂いのケーキを発見。どうするジョージ?あら~、食べちゃった!猫を見つけると・・・追いかけちゃった!花壇の花を見ると・・・掘っちゃった!誘惑には勝てないジョージなのでした。
 ハリスが帰ってきて、我に返ったジョージは、しょんぼりと反省。それからは、誘惑に負けないジョージなのでした。我慢、我慢。しばらくは、いい子のジョージだったのですが、ジョージが一番ワクワクするゴミばこを見つけました。
どうするジョージ!どうするジョージ!
ジョージの姿は、悪気はまったくないのでけど、ついつい誘惑に負けてしまう子どもたちとピッタリ重なります。感じたまま動いてしまう子どもたちだから、憎めないんですよね。
 さて、ジョージは、ゴミばこをどうしたのでしょうか。ちゃんと終わる?終わらない?
 
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『なつのいちにち』

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 1,000円 
 
 梅雨が終わると、暑い夏がやってきます。そんなときに是非、読んでいただきたい絵本が『なつのいちにち』(はたこうしろう・偕成社)。
 ここ最近の夏は、極端な猛暑のため、熱中症にならないように気をつけて、冷房の効いた家の中で過ごすことの方が多いかもしれません。それでも、子どもたちには「夏」の思い出を作ってほしいです。夏の思いでは特別です。なぜなら、体中のあらゆるところに、しみ込んでいるからです。
 例えば、青々と繁った草の匂い。ジリジリと腕に突き刺す強い陽射し。風で揺れる木の音。セミの声。夕立で濡れたゴム草履の足元。麦わら帽子をかぶったときのチクチク感。大人になった今でも、鮮明に覚えています。特別なことは何もないのだけれど、「夏」が五感を通じて体にしみ込んでいます。
 この絵本も何も特別なことはない、ある少年の夏の一日を描いたものです。にもかかわらず、絵本の中からいろんな「夏」の感覚があふれ出します。
特に、40歳以上の人は、体中から夏が蘇ってくると思います。今のこどもたちにも「夏」の感覚を体にしみこませてあげたい。そして、彼らが大人になったとき、『なつのいちにち』を読めば、体中からその感覚が蘇ってくるようになるとうれしいな。
 この絵本の舞台は田舎ですが、都会でも「夏」はあるはずです。是非、子どもたちと一緒に「夏」をさがして、体にしみ込ませてください。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『ぼくがとぶ』

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 1,404円
 
 新年度のバタバタした生活から比べると、子どもも大人も、少し落ち着いてきた頃でしょう。そんな時期に読んでもらいたいのが、『ぼくがとぶ』(佐々木マキ、絵本館)。
 男の子が作業場で飛行機をつくっています。完成して飛んだと思ったら、墜落。でも、挫けません。もう一度、修理をして、再びチャレンジ。今度はうまく飛びました。お父さんとお母さんは、地上から飛行機を見上げ、呆気にとられつつ、最後には手を振っています。そして男の子は、どんどん遠くに飛んでいくのです。成功するまで頑張る男の子のロマンを感じますね。
男の子が飛行機を作っている作業場では、こんな文章があります。「とうさんも、かあさんも、しらないんだ」子どもたちは、だんだんと親の知らない世界を広げ、いつか、親の手の届かない所に飛び立っていくのでしょうね。地上から呆気にとられつつ、見送っているお父さんとお母さんは、「しゃあないなあ」という気持ちかもわかりません。これくらいの距離感がちょうどいいかもしれませんね。子どもは、そうやって親の手を離れながら、どんどん大きくなっていくのでしょう。
 裏表紙の自信に満ち溢れた男の子の姿がそれを物語っています。新しい環境に慣れた子どもたちは、さらなる未知の世界に飛ぼうとしているのかも。呆気にとられながら、応援してあげましょう。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『きょうはマラカスのひ』

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1,512円
 
はまる絵本というのがあります。『きょうはまらかすのひ』(樋勝朋巳、福音書店)がそれ。この絵本はクセになります。
 犬なのか、人なのか、よくわからない3人が登場します。パーマさんとフワフワさんと、クネクネさん。3人はマラカスが大好き。クネクネさんのうちに集まって、3人で発表会をします。ひとりひとりがマラカスを振りながら踊りを披露。これが全然、かっこよくないのですが、それぞれの特徴が出ていて、笑ってしまいます。お昼をはさんで、最後にクネクネさんの発表ですが、おなかいっぱいになったクネクネさんは失敗。見ている2人はいつの間にか寝てしまうという状況。部屋にこもって泣くクネクネさんを2人がなぐさめます。気を取り直して、もう一度マラカスを振って踊りを披露するクネクネさん。今度は成功です。
 この絵本は、大爆笑するような類のものではないのですが、ページをめくるたびに「クックック」と笑ってしまう絵本なのです。そして、なぜか、また見たくなり、ページをめくると「クックック」。この繰り返しです。これがけっこう心地よいのです。完全にクセになります。3人の謎に包まれた背景も気になります。なぜかタイツにこだわりをもっているクネクネさんも気になります。絵本の中では、何ひとつ解明されていません。だから、また見てしまうのですが、見るたびに、不思議にやさしい気持ちになれるのです。この気もちを分かち合える仲間がほしい。気になる人は、読んでみてください。きっと、クセになるから。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『おおかみだ!』

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1,188円
 
絵本にはストーリーに引き込まれたり、絵に魅入ったりする作品も多いですが、アイデアに脱帽!という絵本もあります。
 『おおかみだ!』(ポプラ社・文:センドリック・ラマディエ、絵:ヴァンサン・ブルジョ、訳・谷川俊太郎)がそれ。
 絵本の中から、おおかみがやってくるんです。文章はアドバイスになっています。「はやく!ページをめくって、おいはらうんだ」。アドバイスに従って、急いでページをめくると、あらあら!おおかみがもっと近づいてきた!ページをめくるごとに、おおかみは、どんどん近づいてきます。アドバイスは、本をかたむけたりさかさまにしたり。何とかおおかみを追い払おうとしてくれます。
しかし、おおかみはどんどん近づいてきて、にっちもさっちもいかなくなった最終ページ…。どうなるのでしょう。実際に絵本を読んだときのお楽しみにとっておきましょう。
 とってもシンプルな内容なのですが、絵本そのものをめくったり、ゆすったりするなど、目からウロコのアイデアです。しかも、文章は直接読み手に語りかけるアドバイスなので、読み手が絵本に操られているようなのです。もう脱帽です。
 子どもたちは、ページをめくるごとに間違いなく絶叫します。この絵本にはぼくも子どもたちも、やられました。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『みなみのしまのサンタクロース』

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1,404円
 
 クリスマスの季節です。サンタクロースの絵本は、いろんな種類のものが出ています。どれもステキな絵本です。
 今回、ご紹介するのは、サンタクロースのイメージを大きく変える絵本です。「みなみのしまのサンタクロース」(佼成出版社・作:斉藤洋、絵:高畠純)
サンタクロースは、雪国からソリに乗ってやってくるイメージが強いです。しかし、北半球が冬のとき、南半球は夏です。南半球のサンタクロースはどんな様子なのでしょう。なんと、海水パンツに、派手なアロハシャツ。足元はサンダルばきです。いくら夏と言っても、かなりラフなサンタクロースです。トナカイもいません。代わりにカンガルーが荷車を引っ張ります。こんなのんびりムードのサンタクロースですが、ちゃんと助手がいるのです。
 コアラ。
 このコアラが助手のくせにまったく役に立ちません。さぼったり、じゃまをしたり、マイペースです。それでも、サンタクロースがコアラを助手にしているのにはわけがあります。ひとりで荷車に乗るのはさみしいし、ふたりの方が楽しいからなんですって。
 子どもたちは、サンタクロースのイメージが大きく異なるので、戸惑うかもしれませんが、そんな様子をウッシッシと見ているのも楽しいではありませんか。
 師走のあわただしい時期にこそ、この絵本を広げて、のんびりした気持ちになってください。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『ぞうのボタン』

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972円

 字のない絵本があります。今回は『ぞうのボタン』(冨山房・作:うえののりこ)をご紹介します。
 この絵本は、ページをめくるときの醍醐味をたっぷりと味わうことができます。最初のページをめくると、ぞうのお腹の中から馬が登場。今度は馬にもボタンがついています。ボタンを外すと・・・。次々といろんな動物が出てきます。
 さて、字のない絵本だからどう読むのでしょうか。何も言わずにページをめくるだけにしておき、すべて子どもたちの想像、反応に任せるというのもいいでしょう。ぼくは、より楽しんでもらいたいので、ちょっと演出をします。「あら?ぞうさんにボタンがついてる。ちょっと外してみようか」などと言って、ぞうのぼたんのところに指をかけて、ひとつずつ外す動作をします。そして、「何人が入ってるんやろ?」ともったいぶりながら、ページをめくるとこどもたちは「え~っ!」と大歓声。描かれているボタンに指をかけて外す動作をするのがミソです。
 ちょっとした演出で子どもたちの想像はさらに膨らみます。しかも、出てくる動物は段々と小さくなっていきます。子どもたちもそのことに気づき、より小さいものを想像します。そして最後に出てくるものは・・・?
 是非、子どもたちと一緒に楽しんで下さい。字がないからこそ、読み手の個性がより活かされる絵本です。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『ふたごのたこたこウィンナー』

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1,296円

 好みの絵というのがあります。ぼくは、西村敏雄さんが描く絵がとても好きです。
 写真で拝見する西村敏雄さんご本人は、とてもダンディな方なのですが、『もりのおふろ』、『バルバルさん』(いずれも福音館)など、どの作品の登場人物も、“ほわ~ん”として、争い事とは無縁の雰囲気です。ストーリーもあったかくて、やさしさが伝わってくるものがほとんどです。 数ある西村さんの作品の中から、『ふたごのたこたこウィンナー』(ひさかたチャイルド・作:林木林、絵:西村敏雄)を紹介します。イライラも怒りも忘れてしまうほど“ほわ~ん”がいっぱいの絵本です。
 赤いふたごのウィンナーが、お母さんに箸でつままれようとして、逃げるのですが、これがのんびりしていること。途中で隠れたり、休んだり。最終的に、逃げ込んだ先は、弁当箱の中。それって、お母さんが箸でつまんで入れようとしていたところです。 なんともとぼけたふたごのウィンナーですね。
 絵本を見ている子どもたちは、赤いふたごのウィンナーが隠れているところを探し出すと大喜びです。トマトやさくらんぼの皿に隠れていたり、弁当箱の包む布の柄に紛れ込んでいたり。 最後に逃げ込んだ弁当箱で、見つかってしまったときのふたごのウィンナーの表情に、子どもたちも保育士さんも、にこにこ顔顔で“ほわ~ん”とします。
 西村敏雄さんの描いた表情やタッチが、“ほわ~ん”を引き出すのだと思います。好きだな、この“ほわ~ん”。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん 

『とんねる とんねる』

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1404円

  絵本を読むときの楽しみのひとつに、子どもたちの愉快な反応があります。例えば、ページをめくった瞬間に子どもたちが一斉に「え~っ!!」と驚く様子は、絵本の世界に入り込んでいる証拠。読み手もうれしくなる瞬間です。ちょっとした演出を加えることで、さらなる反応を引き出すことができます。
 「とんねる とんねる」(大日本図書・岩田明子)の場合を紹介しましょう。人間の男の子が体でとんねるをつくり、ヘビがくぐる。次にヘビが体でとんねるをつくり、タコがくぐる。さらにカエル、キリンが登場。最後にもぐらが土の中にとんねるを掘って、「くぐってくださ~い」と言うと、登場人物はみんな「えっ?」と驚きます。そこで、そのページを開いたまま子どもたちに聞いてみてください。これが演出です。
「誰がくぐれると思う?」
「カエル」「ヘビ」という声がまっさきにあがります。ページをめくると、カエル、ヘビに続いて、タコも男の子もくぐっています。ここで既に、子どもたちからは「え~っ!!」という反応が出ます。
さらに次のページでは、キリンが細い首だけをとんねるに入れています。すかさず、「やっぱり、キリンは首だけしか入らないね」と言ってみてください。子どもたちが、うん、うんと頷くのを見極めてから、おもむろにページをめくると、そこには、なんと体中を細くして、とんねるをくぐっているキリンが出てきます。
子どもたちが全員が、「え~っ!!!!」となります。
 是非、子どもたちの反応を楽しんでみてください。クセになりますよ。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん
 

 

『どっとこどうぶつえん』

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864円

 子どもたちが、大盛り上がりになる素敵な新刊絵本が登場。『どっとこどうぶつえん』(福音館書店・中村至男)です。タイトルにある「どっと」というのは画素のことです。表紙には、粗い画素数でゾウが描かれています。つまり、大きめの四角形のマス目に色を塗って描かれています。一見すると色盲検査の絵のようです。写実的なゾウとはかけ離れています。本来、人間はものを認識するのに、はっきりとしたゾウの姿をとらえて認識しているのではなく、ぼんやりとしか見えていなくても、それがゾウだと認識できます。想像で補間しているわけです。
 だとしたら、想像力豊かな子どもたちに、粗い画素数で表現した絵を見せたら、より想像の世界が広がるではないか、という発想でできたのがこの絵本です。文字のない絵本です。ページを開くごとに、粗い画素数でいろいろな動物が登場します。子どもたちは、ページを開いた瞬間に、「キリン!」「ライオン!」などと、次々と当てていきます。その反応の速さたるや、すごいです。試しに大人の人に読んでみると、ほとんどが、子どもたちよりも反応が鈍いです。
 子どもたちと、より楽しむ読み方があります。開いたページはじっくりと見せますが、ページを開くときだけ、スピードを速くするのです。こうすると、子どもたちは考える間がないですから、より反応が早くなります。その結果、普段、おとなしい子も、一緒になって動物の名前を口にします。是非、お試しを。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『ワニあなぼこほる』

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1404円
 
  ぼくは、保育園や幼稚園の園庭をあちこちで遊んでいる子どもたちの様子を見るのが好きです。一心不乱に」ダンゴムシをさがしている子もいれば、ロープを引っ張りながら、ただただ走り回っている子もいます。わけのわからないことを必死でやっている姿には、思わずプッと吹き出してしまいます。
 「ワニあなぼこほる」(石井聖岳・イースト・プレス)のワニさんたちの姿が、園庭で必死に遊ぶ子どもたちと重なります。
  一匹のワニが、小さなスコップをもって、あなぼこを掘ります。それを見かけた他のワニたちも、大きなスコップで「あなぼこ、あなぼこ、あなぼこ!!」と言いながら掘ります。さらには、ショベルカーを持ってくるワニ。ダンプカーを持ってくるワニ。さながら、大規模な工事現場です。一匹のワニが、「はらへった」と言うと、「オレも」「オレも」と一斉に昼飯。食べるだけ食べたら、昼寝。昼寝から起きたら再び、工事の続き。そして、ようやくできあがったのは、大きな大きな池。そこに、一匹の小さなきんぎょを放します。ワニたちが「うおお~」と拍手。
  わけのわからないことに、夢中になって取り組んでいるワニさんたちの姿は、とても健全に感じます。目的なんてどうでもいい、とにかくやりたい。やってること自体が楽しい、なんだか愉快。
大人の我々が忘れかけていることですね。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
絵本を読む人・しんちゃん

 

『ゆきだるまはよるがすき!』

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1365円

 子どもたちは、その豊かな想像力で、絵本の世界を現実の世界にも広げていきます。
 「ゆきだるまはよるがすき!」(文:キャラリン・ビーナー、絵:マーク・ビーナー、訳:せなあいこ、評論社)という絵本を読んだときの子どもたちの反応がとても愉快です。
 朝になると、せっかく前の日に作った雪だるまがヨレヨレになっているので、少年はこう考えました。「一体、夜の間に何があったんだ」(子どもたちは、興味津々で絵本を食い入るように見ています。)実は…。「雪だるまはね、きっと動き出したんだ。(え~っ!!)と言いながら、子どもたちはさらに絵本に食いつきます。
(雪だるまは、みんなで輪になっておしゃべりしたり、かけっこやスケート大会を始めます。さらには野球をしたり、そりあそびをしたり、もうとても楽しそうにしています)
明け方まで遊んだ雪だるまたちは、さすがに遊び疲れて、それぞれの家に帰っていきます。家にたどりついた雪だるまたちは、もうヨレヨレ。
だから、雪だるまの姿が変わっているのは、とても楽しい夜を過ごした証拠なんだって。
 「へぇ~、そうなんや」とうれしそうに納得している子もいます。絵本の世界が、現実のせかいとだぶるとき、さらに想像は膨らみます。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
ブックドクターしん(三浦伸也)

 

『どっちのてにはいってるか?』

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630円

 今月は「どっちのてにはいってるか?」(作・絵:新井洋行、偕成社)を紹介します。
 絵本に登場する男の子が両手を握って「どっちのてにはいってるか?」と言います。読み手のぼくは、絵本の男の子の手を交互に指さしながら、「こっちだと思う子?」と聞きます。ページをめくると、左手にミニカーがありました。当たった子たちは、大喜びです。
次に登場するお母さんの右手にはあめ玉。左手、右手ときたので子どもたちは、次に登場するおとうさんの左手入っていると思います。ところが、入っていたのは右手。クレヨンが入っていました。落胆する子どもたちの様子が愉快です。
 この絵本は本屋に行くと、あかちゃん絵本の棚に置いてあることが多いですが、ぼくは3歳以上の子どもたちによく読みます。読む前に、ちょっとした仕掛けをしておきます。小さなきれいな石を握っておくのです。絵本を読み終えたら、両手を握って「どっちの手にはいってるか?」と聞きます。5歳児くらいになると、「どっちもはいってへん!」と言う子がかなり多いです。ぼくは「なんで知ってるの」という顔をしながら、指を1本ずつ開けていきます。てのひらからきれいな石が出てきたときの、子どもたちの驚きようには、ついつい笑ってしまいます。ちょっとした工夫であかちゃんから年長まで楽しめます。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
ブックドクターしん(三浦伸也)

 

『クリスマスのふしぎなはこ』

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840円

 クリスマスの季節です。この時期は『クリスマスのふしぎなはこ』(文:長谷川摂子、絵:斎藤俊行、福音館)をよく読みます。
男の子が見つけた小さな箱をのぞくと、サンタさんが眠っている。しばらくしてまたのぞくと、サンタさんがいよいよ出発。夜の箱をのぞいてみると、サンタさんは知らない町の上を飛んでいた。寝る前にもう一度、のぞいてみると、ぼくの町の上を飛んでいる。急いで布団に入って目をつむった。最後のページは、朝、目がさめたら、プレゼントがおいてあった、というお話。
 ぼくは、最後のページを読まないことが多いです。子どもたちは、口々に「え~っ!サンタさん来たの?」「どうなったの!」と、その後の展開を知りたがります。
ぼくが、「さあ、どうなったと思う?」と聞くと、「プレゼントもらった」とか「サンタさんはその子に見つかった」というような様々な答が出てきます。
 クリスマスの朝、子どもたちが嬉々として保育園に来る様子を確認して、「クリスマスのふしぎなはこ」をもう一度、読むというのはどうでしょう。
もちろん、このときは最後のページまで、読んであげましょう。子どもたちは、絵本と自分の体験をダブらせて見るようになるので、より深く楽しむことができます。子どもたちに、物だけではなく、しあわせな気持ちをプレゼントするのがサンタさんだと思います。
 そうだとしたら、保育所・幼稚園の先生もサンタさんですね。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
ブックドクターしん(三浦伸也)

 

「ぼくのおばあちゃんのてはしわしわだぞ」

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893円
 
 保育園の祖父母参観では、いつもは興奮気味の子も、こころなしかゆったりと安心感を満喫しているようでもあります。その祖父母参観で、こんな絵本を読みました。『ぼくのおばあちゃんのてはしわしわだぞ』(そうまこうへい、架空社)。おばあちゃんの手は、どうしてしわしわになっちゃんたんだろう。お父さんは大活躍した証拠だと答えます。
あの手で子どもを育て、いっぱい抱っこして、料理して洗濯をしてお掃除をしてきたんだもの。最後は、おばあちゃんが転ばないように、孫の男の子がおばあちゃんのしわしわの手をしっかりと握って散歩に出かけます。
 最初に絵本のタイトルを読んだときは、大爆笑していた子どもたちですが、そのうち全員がシーンとしてきいてくれていました。
 子どもたちの後ろでは、そんな様子をおばあちゃんやおじいちゃんたちが、優しい表情で見守ってくれています。絵本を読み終えたぼくは、こう言いました。
「大活躍したおばあちゃん、おじいちゃんの手を握ってそれぞれのお部屋に戻ろう。」子どもたちもおじいちゃんおばあちゃんもみんな、手をつないで満ち足りた表情でホールを後にしました。
 おばあちゃんおじいちゃんの存在は、子どもたちの素直な心を引き出してくれました。何も言わずに、ただしわしわの手だけで。年を重ねるって、ステキだなあと感じた光景でした。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
ブックドクターしん(三浦伸也)

 

「ぴょんたのたいそう」

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1365円

 しかけ絵本で、ぼくのお気に入りの絵本があります。

『ぴょんたのたいそう』(作・ルース・ティルデン、大日本絵画)です。
しかけ絵本というと、複雑なものから奇想天外なものまで、いろいろなものがありますが、『ぴょんたのたいそう』は、 とってもシンプルです。
 主人公のかえるのぴょんたくんが各ページで、体を左右に動かしたり、前後に倒したり、体操をする絵本です。ぴょんたくんの動きは、各ページについてある1㎝×2㎝四方の取っ手を、読み手が動かす仕組みになっています。
取っ手を左に動かせば、ぴょんたくんの体は右に倒れ、右に動かせば、ぴょんたくんの体は左に倒れます。この絵本の何が気に入っているかというと、シンプルさです。
つくりがシンプルなので、動かす回数やスピードは、読み手が自在に操作できます。つくりだけではなく、絵やストーリーもシンプルなのです。シンプルな作品は、その分、読み手の自由度が大きくなります。それによって、子どもたちの反応の幅も広がります。
 是非、子どもたちに読んでみてください。
 あまりのシンプルさと、子どもたちの反応の多様さに、びっくりすると思います。何よりも、作品のシンプルさが、底抜けの明るさにつながっているのがいいですね。シンプル イズ ベスト。
 
NPO法人ほがらか絵本畑
ブックドクターしん(三浦伸也)

 

「えらいえらい!」

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1050円

 子どもの一言によって、大人の視線でしか子どもを見ていなかったことに気づくことが度々あります。

『えらいえらい!』(文・ますだゆうこ、絵・竹内通雅、そうえん社)という絵本を幼稚園で読みました。最初のページを開くと、大きなくつが出てきます。「くつは えらい なんで えらい?」次のページでは「まいにち いっぱい あるくから」とあります。そして、次々とカバやカンガルーや傘などが出てきて、「えらい えらい なんで えらい?」と聞きます。子どもたちは、口々に「大きいから」、ジャンプするから」、「雨をよけるから」などという言葉が出ます。カンガルーが出てきたときは、「ボクシングができるから」と思わぬ反応もあり、ページをめくるたびに、子どもたちの反応で楽しめる絵本です。
 読み終えてから、3歳児クラスの子に聞きました。「みんな えらい えらい。なんで えらいの?」そしたら、ひとりの男の子がこう答えてくれました。「がんばってようちえんに来てるからえらいの」
ぼくはしばらく言葉が出ませんでした。ついつい子どもたちに、してあげることばかりを考えていました。子どもたちが幼稚園に来ていることは、当たり前の前提でした。でも、子どもたちは、がんばって幼稚園に来ているのですね。
 えらい、えらい!
 
NPO法人ほがらか絵本畑
ブックドクターしん(三浦 伸也)

 

「じゃぐちをあけると」

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840円

 おはなしは、何も絵本の中だけのものではありません。絵本を飛び出して、どんどんと広がっていきます。
 「じゃぐちをあけると」(しんぐうすすむ・福間書店)を読んだときのことです。
 この絵本は、水道の蛇口をあけると水が出て、そこに、指をあてたり、スプーンを当てたりして、水がいろんな形にはじける様子を、ダイナミックに描いています。
 読み終えてから、子どもたちに「こういうの、やってみるとおもしろいよ~」と言いました。すると、子どもたちは、声を合わせて「あかーん!」なぜ、ダメなのかと聞くと、「おこられる~!」
 ぼくは、散々、「おもしろいぞ~」と、子どもたちにたきつけました。
 後日、先生から報告がありました。園児たちに、各自スプーンを持ってきてもらって、プールの時間に、思いっきり蛇口で遊んだそうです。そのあと、子どもたちは、この絵本を何回も見るわ、見るわ。
 あるいは、この絵本を読んだあとに、保護者に「お風呂に入ったときにでも、できるだけ蛇口で遊ばせてあげてほしい」と伝えた園もありました。
 絵本のおはなしを、いかに広げていくか、保育士さんの腕次第です。
 どうか、子どもたちの、しなやかな想像力を養ってあげてほしいと思います。

 

NPO法人ほがらか絵本畑
ブックドクターしん(三浦伸也)

 

「おむかえ」

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410円

 園長先生が、保護者総会などで、保護者向けに絵本を読む保育園があります。その園長先生に、今年は、こどものとも年中向き4月号『おむかえ』をご紹介させていただきました。
 動物たちの保育園が舞台です。
 夕方、次々とお迎えがやってきます。キツツキのおかあさん、おさるのおとうさん、モグラのおじいちゃん。お迎えの仕方が、それぞれで、これがおもしろい。
 そして、みんなお迎えが来る中、クマだけはお迎えが来ません。雨も降ってきました。雨で川を渡れなくなったクマのおかあさんが、ズブ濡れになって、やっとお迎えに来ました。
 なぜ、この絵本を紹介したのか。
 6月は、子どもたちも保護者も、ようやく保育園の生活にも慣れてきた頃です。
 でも、子どもたちにとって、お迎えの時間が待ち遠しいことは、入園当初と変わりありません。
 保護者の方々にとっては、夜、家での用事がたくさんあるので、子どもたちを、さっさと連れ帰ろうとする気持ちもよくわかります。
 でも、子どもたちは、このお迎えの時間の一瞬を、とても楽しみに待っているということを知っていただきたいのです。
 こういうことを伝えるのに、絵本は押しつけがましくないからいいのです。しかも、大人になってから絵本を読んでもらうこと自体も新鮮。きっと思いが届きます。


NPO法人ほがらか絵本畑
ブックドクターしん(三浦伸也)

 

「しげちゃん」

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1365円

 私の絵本紹介の特徴として子どもたちの葛藤が中心にあります。それは子どもたちが幸せに暮らしていくために、自尊心や人への信頼感を乳幼児期に育んでいき、じぶんのことがすき!と思える自己肯定感。友だちの事もほっとけないと感じる他者にたいする尊敬。それらを蓄えていきながら、人としてごく当たり前の“人を大事にする感性”を育んでいく同行者でありたいからです。
 今回紹介の『しげちゃん』は女優の室井滋さんの幼少期、しげるという名前で嫌な思いを体験しながらも、ある日お母さんに「なまえをかえたいの」と話したことをきっかけに、命名のいきさつやわが子の存在を大事に思う名前に込められた親の願いなどを教えてもらい、しげちゃん本人が嫌な気持ちを吹っ切って、“このなまえでよかった!”とその小さな心に決意をみなぎらせていくストーリーです。絵も長谷川義史さんの魅力がしげちゃんの気持ちをより引き出しているように見えます。
 この絵本は、クラスで友だちの嫌がることを平気で言ってしまう子どもたちの姿から、子どもたちと一緒に何回か読んでいった大阪市の保育士さんの実践を聞き、是非紹介したいなと思いました。特にラストのしげちゃんの変革は、見ている子どもや大人に勇気を吹き込んでくれます。名前をちゃかしてからかう周りの子どもがいなかったら、しげちゃんの悩みも生じませんが、大人社会の差別構造がある限り子どもの世界にも厳しい状況は生じてしまいます。乳幼児に関わる私たちが「人を尊重するとは?」を他人事ではなく子どもたちや保護者の皆さんと一緒に考え続けていきたいですね。絵本はその役割を担ってくれる最適の教材ですね。

絵本から子どもの人権を考えるグループ“はじめの一歩”杉本節子 

 

「ぼくがラーメンたべてるとき」

 

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1365円

 絵本紹介を担当していて感動する事に、1冊の絵本から子どもたちが心を動かしている姿に出会うことです。作者のメッセージを読み手が引き継いで一緒に考えていく機会となり、又子どもたちも絵本を通して色んな人たちの事に思いを巡らせ感性を育んでいくのですね。今回の絵本実践は、豊中市立蛍池人権まちづくりセンター職員の橋本知己先生です。

 センターでは地域の小学生が放課後活動をしています。その中で人権学習があるのですがよく絵本を用います。大人目線では気づかない所に子どもの意外な発見があり、子ども自身の振り返りや、お互いを知りあう機会に繋がるからです。この絵本は何年か前、新潟中越地震があった時に同じ日本の中で起きている出来事に目を向けてほしいとの思いから読みました。その後、東日本大震災や平和の取り組みにも考える機会として読んでいます。
 自分がラーメンを食べているその瞬間、隣の家の子、隣町の子、そして隣の国、ある国と場面が進んでいきます。隣の家、隣の町の子はテレビを見ていて、野球をしていてとごく身近な場面ですが、ある国では水汲みの手伝い、パンを売る子、そして倒れている子どもと描かれていきます。子どもたちは初めは笑いながら見ていますが、だんだん真剣になり、特に最後のページになると「戦争で死んだんや!」「だって後ろの建物つぶれてるやん」「たべものもなくなったんやで」など、口々に感じた事を伝えていきます。今こうしているときに同じ地球上で起こっている出来事の厳しさに疑問や不安の入り混じった反応でした。でも子どもたちの日常から、絵本で知ったり感じたことをその心の中に蓄えていっている事を感じています。

絵本から子どもの人権を考えるグループ“はじめの一歩”杉本節子

 

「ないた」

 

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1360円

 どちらの幼稚園や保育所でも後半の保育を迎え、子どもたちも当番活動や遊びにも自信
を持って誰かの為に自分が役立っている事を感じたり、その分仲間との関係でもお互いよく知り合ってきたからこそ主張していく姿を見せている事でしょう。今回届いた絵本実践は、子どもたちが持つ価値観を揺さぶっている実践と言えます。ここからは泉南市立くすのき幼稚園の吉田美智代先生の実践です。
 「泣くのは弱虫やで」「男は泣いたらあかん」と言う子どもたちの言葉や泣きたい気持ちを抑え無理に笑う姿があり、今回紹介の絵本『ないた』と言う絵本を繰り返し読んでいった。読み終えた後、「おれ、泣いたことない」と自慢げに答える子がいた。2~3回読んでいくと“けんかしてないた”“しかられてないた”と言う場面で、友だちと顔を見合わせ「これはむっちゃあるでな」と共感する姿、“おわかれのときないた”と言う場面では、「ないたことがない」と言っていた子が「いちごぐみ(4歳児)のときないた」とつぶやく。別の子が「ぼく、ないたことない」と言うと、すかさず友だちに「あるやん」と返されて、泣くことはあかんと思っていた子だけに自分の弱さを指摘されたと思い元気がなくなった。その時、「僕もお母さんと一緒に帰りたくて泣いた」と言う友だちの言葉に救われホッとした顔になっていた。『なく』と言う共通の経験を通して、自分の思いと友だちの思いを重ねている子どもたちの姿に成長を感じたり、誰だって泣くし、泣くことは恥ずかしい事でも、弱い事でもないと言う事をこの絵本を通して伝わったかなと思った絵本実践でした。

絵本から子どもの人権を考えるグループ“はじめの一歩” 杉本 節子

 

「きこえる?きこえるよ」

 

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  1200円
 

 本屋さんで見つけた1冊の絵本、この絵本を選んだ理由は、題名の「きこえる?きこえるよ」に目が止まり、開いてみると字がなくて絵を見て聞こえてくる音を想像するところがおもしろいと思い、3歳児クラスで読んでみました。
 いつもは「静かに見てね」と言いながら読んでいく絵本を「今日は見て思ったこと、聞こえてきた音や声をいっぱいしゃべっていいよ」と言って、ページをめくりながら「へぇー、そんな声が聞こえたの。ふーん、そんな音もきこえたの」と、子どもたちの声をひろっていきました。その中で、最近思うように言葉が出ないことに気持ちが沈んで、あまりしゃべらなくなっていたKちゃんが、鳥の声に反応して「ぴよぴよ」と小さい声で言っているのが聞こえました。よく見ると、絵本の中に小さいひよこが描かれていて、「ほんとだ、先生も聞こえたよ」と言うと、Kちゃんはにっこり笑ってくれました。子どもたちの声を通してじっくり絵本を楽しむことができたので、最後に「みんなが絵本を読んでくれたので、とっても楽しかった。ありがとう」と返しました。
 以前に5歳児クラスで視覚障害のあるYちゃんとの出会いがあったのですが、Yちゃんならこの絵本をどう楽しむかな、友だちの楽しそうな声がいっぱい聞こえてきたら、イメージが広がり、いろんなものが見えてくるんじゃないかなと思いました。
 この絵本は読めば読むほど、子どもたちの声が広がってくるのです。

絵本から子どもの人権を考えるグループ“はじめの一歩” 杉本 節子


 

ゆうちゃんとめんどくさいサイ

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840円

 
今回の絵本は生活面を捉えた絵本です。毎日の生活の中で食事、排泄、着脱、また手を洗う、歯を磨くなど自立に向けての準備段階を、大人との信頼関係を基に育んでいきます。2歳前後より「自分でするの!」と言う時期を迎え、徐々にその子のペースで基本的な生活習慣を身に付けていきます。しかし、子どもにはペースがあって大人の思い通りに行かないことがしばしばです。今回紹介の「ゆうちゃんとめんどうくさいサイ」では、見事に子どもの気持ちに立ったところ生活を捉えている魅力があります。
 今回の絵本実践は能勢町立ふたば園の大家雅子先生です。

 朝、ゆうちゃんが起きるとお母さんが言いました。「洋服に着替えて歯を磨きなさい!」でもゆうちゃんは「やぁだよ、めんどくさい」。朝の支度をしないゆうちゃんにお母さんはしびれを切らし、ガミガミと声をかけます。とうとうゆうちゃんは家を出ていきます。絵本を見ている子どもたちは主人公に親近感を持ち、ぐいぐい話の世界に入ります。そんなゆうちゃんがたどり着いたのはめんどくさいサイの住む家。ゆうちゃんはめんどくさいサイの子どもになりました。でもそこでもあれこれ注意を受けて大爆発!「ああうるさい!あれするなこれするなと、ぼくはめんどくさいサイの子にならない」主人公の痛快なセリフに子どもたちは共感!このページをめくる瞬間一斉にセリフを叫びます。子どもたちの日常と重なり、心の爆発を解き放ってくれるようです。「ぼく(わたし)は自分のペースで自立していくんだよ」って大人にメッセージを送ってるようにも感じられます。子どもたちの反応も楽しみながら読んでみて下さいね。必ず「もういっかいよんで」と言う絵本になりますよ。

絵本から子どもの人権を考えるグループ “初めの一歩” 杉本 節子

 

おへそのあな

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1,365円

 子どもたちが、自分の事を肯定的に感じ取れるにはどんな絵本があるかなと迷っていませんか。前半のこの時期、友だちと共感しながらぼくって(わたしって)おうちの人や先生に大事にされていると実感してほしいのですね。そんな時とっておきの絵本があります。
 今回は地域の保育所や子育て支援センターに行き、絵本の読み聞かせの活動をしているグループ「初めの一歩」の横瀬幸子さんの実践を紹介します。以下横瀬さんの原稿です。

 先日、「おへそのあな」という絵本を5歳児の子どもたちに読みました。絵本を見るなり「あっしってる」「これといっしょ」と本棚の絵本を持ってくる子、また別の子が「おかあさんのおへそと、赤ちゃんのおへそがつながってるねんで」と教えてくれます。さあ読もうと絵本を前に掲げると、一人の子が前に来て絵本の上下の向きを変えるのです。そしてページをめくる度に向きを変えに来るのです。そこでお腹の中の赤ちゃんは下を向いている事、生まれてくるときは頭から生まれてくるから下を向いていることを話すと「ふ~ん、そうか」と納得。読み終わった後、みんなもお母さんのおなかの中にいる時、おへそとおへそが繋がっておへそのあなから栄養をもらったり、「きょうはなんのごちそうかな」においをかいだり、おとうさんやおにいちゃん、おねえちゃんがお腹の中の赤ちゃんに「げんきにうまれてくるんだよ、うまれたらいっしょにあそぼうね」と話かけていたことを感じていきました。そして赤ちゃんがおへその小さな小さな穴から、みたりきたいり、においをかんじたりして生まれてきたことを話すと、まるで自分が赤ちゃんになったようなほんわかとした表情をしていました。そんな子どもたちの顔を見て思わず宿題を出してしまいました。その宿題は、「おうちに帰ったら、おうちの人にみんながお腹にいるときどんなだった」って聞いてくること!です。

絵本から子どもの人権を考えるグループ “初めの一歩” 杉本 節子

おやおやじゅくへようこそ

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1,365円

今回紹介の『おやおやじゅくへ ようこそ』は発刊されてほやほやの絵本です。
私は個人的にこの作者のファンなんですが、子どもや子育て中の親を愛している人の発想なんです。少し、おやおや塾の内容を紹介していくと『こどものおしごとは、さわる・なめる・やぶく・ひっぱる・たたく。それから二つ目は、なくこと!三つ目は、しっぱいすること!』と子どもの姿が出てきます。次に『おやのおしごとは、どうして体が大きいか、こどもをだっこするためです。そして二つ目はこどもの話を聞くこと!』という風に、大人が塾に行って先生である子どもに教わっていく展開になっているのです。実はこの絵本、ある保育士さんから「いい絵本がある」という連絡を貰い、話を聞いてぜひその実践を紹介したくなりました。以降その先生の原稿です。

  5月に初めて保護者が集まるクラス懇談会がありました。クラスの子どもたちの様子を伝え、1年間大事にしていきたい保育のねらいや取り組みの見通しを話す場で、この絵本『おやおやじゅくへ ようこそ』を紹介しました。子どもの様子や子どもの気持ちを代弁してくれるこの絵本の内容が、聞いている保護者や紹介している私たち保育者にもはっとさせられる機会になりました。後日感想を聞いていった所、「子どもが先生っていうのがおもしろかった」「子どもの仕事が泣くことだって、なんかホッとした」「子どもの泣く理由を聞くのが親の役割っていうのが印象に残った」「いろんな場面にグサッときて、反省します」「どれも思い当たるなあ」など本当にいろんな保護者の方の意見を聞けて、又話していける機会になりました。

 今回の原稿は豊中市立原田保育所の中永博子先生です。読者のみなさんでこのコーナーで紹介したい絵本の情報をぜひお寄せくださいね。

 絵本から子どもの人権を考えるグループ“はじめの一歩”杉本節子

「だるまさんと」「だるまさんの」

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893円
 

今回は様々な心模様の時に乳児さんの子どもたちに人気の絵本紹介。
『だるまさんと』『だるまさんの』の2冊です。以前“だるまさんが”を紹介しましたが、だるまさんの何ともいえない表情や思わずえっーとびっくりする展開、自分の身近な生活の共感など子どもたちが引き込まれます。ある子育て広場でのこと、いつも友だちにちょっかいをかけ「ごめんね」と謝りながら気にしているKちゃんのママが笑っています。
「もういっかい」「もういっかい」と要求を出す我が子の姿を目の当たりにしているからでした。この絵本は子どもたちの読んでほしい要求の強さからずーと継続したほどです。
 昨年このだるまさんシリーズの絵本を通して支援活動がうまくいった経験を得る事が出来ました。絵本グループのメンバーで検証したところ、①繰り返しの面白さ、②イチゴやバナナなど生活になじんだものや、め(目)・て(手)・は(歯)など身近な体の部位の楽しい登場、③友だちとのおもしろさの共感と共鳴、そしてなにより④この絵本を囲む雰囲気が子どもを尊敬する雰囲気を作ってくれます。読み手の柔らかさ、興味津々の子どもたち、ママたちの見守りの笑顔、これら一つひとつが“子どもたちが大事にされている”と感じ取れるひと時を育んでいることを、絵本活動の整理から見えてきたのです。

    絵本から子どもの人権を考えるグループ“はじめの一歩”杉本節子

「おふろのじかん」「かばくんとおとうさん」

「おふろのじかん」「かばくんとおとうさん」

先日、第13回大阪保育子育て人権研究集会の第6分科会 絵本~仲間をつなぐ・親子をつなぐ~に参加しました。そこで報告園から、私たち絵本グループの課題にあった活動のヒントをもらうことになり、嬉しくて12月の活動に取り入れたのです。その内容は保護者にも絵本の読み手になってもらったところ、お母さんにも子どもたちにも良かったという報告でした。
 早速、子育て広場に参加のお母さんに読み手になってもらいました。お母さんの表情から、「私 読みましょうか」というサインを送ってくれる人もいた位です。絵本は1~2歳児向けで、子ども達の生活で身近なもの、遊びで共感できるものをテーマに選びました。はじめのお母さんが、「おふろのじかん」の絵本を読み始めると本当にどの子も「なんだろう」と集まってきて夢中になってみているのです。読み手の親子も、見ている親子も主人公のトントンがお風呂に入って洗ってもらう様子をまるで自分が洗ってもらうように気持ちよさそうな表情です。2人目のお母さんは「かばくんとおとうさん」の絵本を読んでくれました。かばくんのおかあさんが出かけてしまい、お父さんが朝ごはんにおにぎりを作ってくれることに、と話は続きます。ページをめくる度に、その出来事1つひとつが子どもたちに共感できる内容で、楽しそうに親子の笑い声が聞こえます。 
 その後、親子で1冊ずつ手にとって読んでもらう場面を設けました。親子のペアーが引き寄せられるようにして特別の空間ができ、あちことで絵本を真ん中に何ともいえない心地よさが広がりました。お陰さまでいい勉強の場に出て本当によかったです。

ゴリラのパンやさん

ゴリラのパンやさん

1,260円

保育も後半に入り、友だちとの関係も深まってきた頃ですね。子どもたちと一緒に考えたいなと今回紹介の「ゴリラのパンやさん」をある保育所の5歳児クラスで読みました。森でゴリラがパンやさんを始めました。でもゴリラの大きい声や、こわい顔〔外見〕に買いに来た動物たちは逃げてかえってしまいます。ゴリラは困りましたが、声を変えたり、指人形をしたりして色々と工夫を凝らしてみます。すると少しずつお客さんが増えてきたというお話です。
 さて、子どもたちに「初めどうして買わないで逃げたのかな」と聞いてみると「だってかおこわいいし、おおきなこえやったから」。次に「でもうさぎは怖がらなかったね」と聞いていくと、「あのな、ゴリラさんにたすけてもらったからや」「そうや、きつねおっぱらってくれた」とよくみていたつぶやき。ここで「人権保育のための絵本ガイド」を活用して「じゃあね、もしみんなのお母さんがゴリラのパンやで買ったらダメっていったらどうする?」と聞いてみると、すぐに何人かの子が「J、かいにいかない」「かわない、かわない」と反応してくる。その時横から、「Yは、おいしかったらかいにいく!」とY。すると「Kも、おいしかったらかいにいく」と共感。言葉では出ないが“外見じゃないよ”という感じが伝わりました。
 最後に、「もし、みんながゴリラだったらどうする?」と聞くと、「パンかってほしい」「にげられたらかなしいわ」「にんぎょげきとかしてくれて、ゴリラさんやさしい」など活発に意見が出てきました。大人の投げかけ方でこんな風に反応が変わって驚きますが、絵本を通してこんなやり取りが子どもたちにとってとても貴重な体験だなと感じています。

 ちょうどいいよ

ちょうどいいよ

1,300円

今回紹介の絵本「ちょうどいいよ」が、 成長の節目真っただ中の3歳児にぴったりの絵本です。ページをめくると、ちっちゃな帽子を見つけ“もうはいらない”と大きくなったゆりやんが登場。3歳児 クラスの子どもたちは目をぱちくりして共感の雰囲気。ゆいちゃんは周りの大人からは「大きいから小さい子にやさしくね」とか、ママに抱っこしてもらったら 「ゆいちゃん重くなったね、大きくなったね」と言われるけど、パパが抱っこしたら「まだ軽いぞ、ゆいは小さいもんな」と言うし、お料理のお手伝いをしょう としたら「もう少し大きくなってからね」と言う。もう、ゆいちゃんは大きいの?小さいの?3歳児の子どもたちは、場面がかわるごとに「S、大きくなったも ん」「Kのママもおもくなったっていう」など隣の子とつぶやいています。絵本を止めて、「ねぇ、くまぐみさんの子どもたちは大きいの?小さいの?」と聞い てみると、声をそろえて「おおきい!」と返ってくるので思わず笑ってしまいます。
次のページに子猫を抱っこしている場面と、大きな犬に触れないゆいちゃんが出てきました。
すると4人の子どもたちが向き合って、「なあ、おおきいいぬさわれる」「H、ようさわらんわ」「C、さわれるで、だってC、おおきいもん」「K、こわいか らさわれない」と絵本の場面から、今の自分たちは大きいの、小さいのと考えている姿に驚きました。最後に「ゆいちゃんは大きいの、小さいのと考えている姿 に驚きなした。
 最後に「ゆいちゃんは大きいと小さいの真ん中で、ちょうどいい大きさだね」という場面があって、今の3歳児そのままを認められた心地よさが伝わり、“自分たちは大きいもん”とちょっぴり自信を持った子どもたちの顔がありました。

 ぼくがあかちゃんだったとき

 ぼくがあかちゃんだったとき

1,260円

4~5月を新しい環境で過ごし、少しずつ慣れてきた子ども達は、いま自分や周りの友達をどんな風に見つめているのでしょうか。この1年、子 ども達の仲間関係を対等な関係にしていく手がかりに、保育の展開のなかで客観的に自分たちの姿を重ねていける絵本の紹介をしていきたいと思っています。自 分が大事にされている実感をこの時期に育んでいきたいですね。

今回のテーマは“自分が大事にされている”1です。

「ぼくがかあちゃんだったとき」は6歳の誕生日を迎えたぼくとパパのお話です。
誕生日にぼくをひざに乗せて、生まれた時からの色んな話を、パパの実感から話してくれます。
ページをめくるごとにパパの感動や心配や困った事などが出てきて、絵本のなかに引きずり込まれます。
子ども達は絵本の中の赤ちゃんになった気持ちで、「あのな、ぼくの赤ちゃんのときな、いちばんかわいかった。ママがいうとった」「ぼくな、ママのおなかのなかでまるまっててん」と口々に話してくれます。ジェンダーの視点からもお勧めです。

てをつないでごらん

てをつないでごらん

1,365円

も う1冊「てをつないでごらん」は短編です。手をつなぐ心地よさ、温かさが絵本を聞いている子ども達にも、読んでいる大人にも、また帰りにおうちの人と思わ ず手をつないでみたくなる絵本です。ケンカをしていた友達とも仲直しして、手をつないだ時の嬉しさが伝わります。「ぼく、ママと手をつないだことないね ん」とタロウくん。ママと手をつないだきっかけに、この絵本がなったらいいな。

絵本から子どもの人権を考えるグループ
“はじめの一歩”  杉本 節子

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