• トップページに戻る
  • ちゃいるどネット大阪とは?
  • 講座・研修のご案内
  • 研究プロジェクト
  • 情報誌・出版物
  • おすすめ絵本
  • いま、どんなきもち教材
ホーム>虐待防止チェックリスト

虐待防止チェックリスト

子ども虐待の予防・早期発見・支援のためのチェックリスト 保育園・幼稚園用

はじめに

子ども虐待の相談処理件数は年々増加の一途をたどっています。深刻なケースが報告される一方、虐待を未然に防げたと思われるケースや、早い段階で子どもや家庭に関することで虐待からの回復の道を歩み始めるケースが少なくありません。この予防や回復に大きな役割を果たしているのが、地域社会であり、地域に開かれた保育園と幼稚園です。
保育園・幼稚園は在園親子や子育て支援活動に参加する親子から、保護者の子どもへの不適切なかかわり(マルトリートメント)や子育て不安を素早くキャッチすることができます。虐待が疑われ、児童相談所など保育園利用を勧められた親子との出会いもあります。虐待が進行していないか、改善されているのかをチェックすること、グレーゾーンの状態にある保護者に安心と自信を育むこと、子どもの健全な成長を家庭とともに支えることが、今日、保育園、幼稚園の大きな役割となっているといえましょう。保育者自身が子どもを虐待から守るための専門的な評価と関わりの技術を持つことが期待されています。
ちゃいるどネット大阪では、子ども虐待への気づきと対応にむけて、昨年度2冊の図書を発行しました。その中に連載した厚生労働省等のチェックリストもたたき台にしながら、保育現場での事例を整理し作成したものが、このチェックリストです。
従来の児童相談(子ども家庭センター)や家庭児童相談室で使われているものと異なり、園で見られる子どもの様子や保護者の様子からチェックできるように、細かな点まで配慮がなされています。チェックリストの活用を通じて、職員同士の相互理解が深まることが期待されますし、虐待対応実務者ネットワーク会議で保育者の視点として情報提供する際に役立てていただけるものと期待しております。

ちゃいるどネット大阪 子ども虐待防止プロジェクト
座長 倉石哲也(武庫川女子大学)
日浦直美(聖和大学)

目的と活用の仕方

このチェックリストは、6つの目的をこめて作成しています。

1 保育者が子ども虐待予防の意識を高め、視野を広げる

クラスで気になる子どもの状態が見られたら、まずチェックしてみましょう。
(クラス担任の目だけでなく、他の職員の目も大切です。)
子ども虐待への気づき・対応が保育者の経験年数や考え方によって異なるということは最小限に防止しなければなりません。チェックすることにより、子どもや保護者の様子を意識的にとらえる機会ともなります。

2 虐待を疑われる子どもの様子の変化を見る

(一定期間をおいてチェックします。)
虐待が疑われる、あるいは気になる子どもがいたら、一定期間をおいてチェックし、改善が見られるのかどうかを把握します。

 園内のケースカンファレンス等で共通理解を持つ

改善が見られないときにはクラスで抱え込まないで、園内のケースカンファレンスにかけましょう。園全体で共通認識を持つときに、チェックリストでの経過観察が資料となります。

 関係機関との意見交換の際に資料提供にもとづく情報提供を行う

子ども家庭センターなど関係機関に連携・相談をした場合も多くは「園での見守りを」ということになります。見守りを継続する中で状況が悪化した場合、関係機関の働きかけを要するかどうかを園が判断する際の参考になると同時に、関係機関への情報提供の資料となります。

 実務者ネットワーク会議で保育者側資料として活用する

学校関係者や児童委員など地域での虐待ネットワーク会議が行えわれているところでは、園の側からの状況説明や問題提起をする際の資料として活用できます。

 子どもが健やかな環境で育つことを保障する

子どもの様子に関する項目として、「生活全般」「対人関係」「ことば」という柱を設け、さらに見る視点を園での子どもの生活に即して「食事」「遊び」等々、分類しています。チェックすると、どの分野に問題が多いのかが一目で把握できますから、保育の重要課題が見えてきます。 

具体的なチェックリストの手順

  • チェックリストは大きく「子どもの様子」と「保護者の様子」そして「生活環境」に分かれています。核当する項目にチェックを入れてください。
    一つひとつの項目は、場合によっては虐待との因果関係が証明されにくい内容が含まれていますが、虐待は総合的に判断する必要があります。従って観察される項目にはすべてチェックを入れるようにしてください。
    年齢によって当然見られる項目や、発達上の障害によって見られる項目もあります。
    あくまでも子ども虐待・マルトリートメントをチェックする目的であることをふまえてください。
  • チェックリストの最後に備考欄を設けています。子どもや家庭に関することで補足することがあれば記入しておくとよいでしょう。
  • チェックを入れた項目を参考にして、「評価用紙(1)」に状況を点数化して記入してください。評価が難しい場合も可能な範囲で記入していください。記入できない場合には、関係機関にその理由を伝えましょう。
  • 「評価用紙(1)」に点数を記入し、その時点で考えられる範囲で支援の方向性をメモしておきましょう。
  • 経過を見るために一定の期間をおいてチェックをしてください。「評価用紙(2)」は経過を見るときに活用してください。
  • チェックの有無や評価用紙の点数は、保育者が違えば評価が異なることがあります。
    大きく異なる場合は、保育者間で話し合い、園として一つの評価をするようにしてください。

子どもの様子

枠内の内容に核当すれば、□にチェックを入れましょう。

記録日    年  月  日()

子どもの名前  
年齢  歳   ヶ月 性別 男 ・ 女

1 生活全般

清潔に関すること □ 洗濯していない服を着ている
□ 何日も同じ服を着ていることがあり、着替えをしていないようだ
□ 身体の衛生が保たれていない(お風呂に入っていない等)
身体に関すること □  身体症状による甘えの訴えがある
 (身体のだるさや不調を大げさに訴え、手当をしつこく求める)
□  不自然な傷が頻繁に認められる(骨折、アザ、火傷等)
□  特別な病気がないのに身長や体重の増えが悪い
食事に関すること □ 過度な早食いが見られる
□  食べ方に特徴がある
 (年齢に合わない、手づかみ、食べこぼし、ムラがある他)
□  食事への極端な執着がある
睡眠に関すること □  昼寝のときに寝付きにくい(緊張・興奮が見られる)
□  悪夢でよく起きることがあり、ぐっすり眠れない
□  おねしょが頻繁に繰り返される
□  就寝時、側に近寄る事を拒否する、あるいは保育者を独占する
物の扱いに関すること □  持ち物の紛失や破損がよく見られる
□  物品に対する扱いが荒っぽい(自分の持ち物でも大事にしない)
□ 自分の精神安定のために、特定の物を執拗に持ち続ける
 (おもちゃ、ぬいぐるみ、タオル、毛布の切れ端など)
態度面での特徴 □  警戒心が強く用心深い
  (人間関係・場所に対して過度の緊張があり、なかなか慣れない)
□  注意が散漫で集中力が持続しない
□  特定の場所を嫌がる(トイレ、押入れ等)
□  他人が部屋に入ってくるのを嫌がる
□  過度のしつけの影響が見られる
  (食事のときや遊びの中で敏感に汚れを気にしたり嫌う)
情緒面での特徴 □  表情や反応が乏しい、笑顔が少ない
□  感情表現が抑えられており、情楮的交流が不得意である
  (保育者や他児に対して常に距離を置いて様子を伺い、遊びに誘っても乗ってこない)
□  おびえた泣き方をする
□  自分の思い通りにならないと長時間泣きわめくことがある
□  朝の受け入れの時、機嫌の良い日と悪い日の落差が激しい
 (普段は落ち着いて簡単にできることが 別の日には情楮不安定になり、できなくなる)
特異な反応に関すること □  突然、癇癪(かんしゃく)やパニックを起こすことがある
  (突然のように感じるがよく行動を観察するとそれそれの子どもに特定のパターンが見出される)
□  時折、無表情になり、凍りついたような凝視がみられる
□  行動、気分、性格が急変することがある
  (何かを契機に范然自失となる身体を緊張させて固まる。興奮し自制がきかない等。)
□  大きな音、耳慣れない音に驚愕反応(硬直やパニック)を示すことがある
□  うるさくない状況なのに「うるさい」ということがある
自傷・他害に関すること □ 危険を伴うような無茶な行動が見られる
 (高いところから恐れもなく飛び降りたり、あたると怪我をするようなものを平気でなげつけたり、自他共に傷付くことに無頓着な行動がある)
□  自傷行為がある(積木で頭を叩く、壁や床に頭を打ちつける、抜毛がある等)

2 対人関係

遊びで見られること □ 集団で遊ぶことが少なく孤立しがちである
□ 一人遊びが多く、呼びかけに対して否定的な物言いをする
 (あっち行け、来るな、あほ、何やねん 等)
□ 遊びの中で破戒や攻撃に関する表現が目立つ(特に暴力や死に関するもの)
□ 虐待体験をそのまま表現したような、深刻な激しさを伴う遊びを繰り返すことが見られ、その遊びに友達を巻き込むことがある
□ 自らの遊びや集団での遊びがエスカレートして興奮状態になり自制がきかなくなることがある
(一人浮いた感じになり周りが引いてしまう)
□ いろいろな活動に対する興味を失うことがある
  (みんなと楽しい雰囲気を共有できず、自分の世界に閉じこもってしまう)
保育者等との関係で
見られること
□ 保育者を独占する
□ 試し行為を繰り返す
□ 「赤ちゃん返り」がある(執拗な抱っこ要求や赤ちゃんことばによる甘えの表現、泣いて要求を通そうとする等)
□ 大人の顔色や機嫌を敏感にとらえ、それに合わせたり、甘えようとする(一見良い子に見えるが、どこか無邪気さや子どもらしさが感じられない)
□ 大人の顔色を見て、注意されたことに対して謝ることはするが行動は改まらない
□ 謝ることに時間がかかる
□ ほめられることに抵抗がある(最初フッと笑うが、すぐに否定する)
□ “かしこい”といわれるのを嫌がる
□ ダメと言われる事をわざとする
□ きつく叱られるとすぐ行動を止めることがある
□ 抱かれ方がぎこちなかったり、拒否したりする
□ 抱かれると異常に離れたがらない
子ども同士の関係で
見られること
□ 他児をよく叩く
□ 年上の子からいじめられても泣かない
□ 保育者や他事の気を引く行為がよく見られる
  (他児の行動を邪魔する、他事に強い対抗意識をもつ等)
□ 相手に怒りや不愉快を引き出させる言動があり、ケンカや叱責の対象となる  
□ 自分より弱いものには支配的で、強いものに対しては従順になる
□ 他者には理解できない状況で、衝動的に暴力をふるうことがある
□ 他児との身体的接触を嫌がり、異常にこわがったりする
□ 子ども同士でいるより大人にまとわりつくことの方が多い
保護者との関係で
見られること
□ 子どもと保護者の視線がほとんど合わない
□ 子どもが保護者と密着している
□ 保育者が保護者のことを口にした時やお迎えの場面で、子どもが体を緊張させたり表情をこわばらせる
□ 保護者のいない時に保護者のことをやたらと口にする
 (“好き・お仕事が忙しい”等)
性的な遊びへの関心で
見られること
□ 人形を使ったり、他の子ども達を巻き込んで性的な遊びをすることがみられる
□ 自分や他人の性器に異常に関心を持つ
□ 他人の体の性的な部分に不適切に、あるいは攻撃的に触れることがある
□ 自傷行が見られる

3 ことば

□ 言葉の発達の遅れが見られる
□ 必要以上に興奮して話す(大声、高い声、場合によっては裏声になったりする)
□ 特定の出来事について何度も繰り返し話すことがある
□ 「うそ」をつく
 (思い込みたいための「うそ」、暴力を逃れたいための「うそ」、可愛がってもらいたいための「うそ」等)
□ 独り言がある
 (保護者に言われていると思われる“甘えるな・テレビをみるな”等の言葉)
□ 相手に不快感を与えるような刺激語(汚い言葉・差別語・性的表現)をよく使う
□ 自己否定を表す言葉が見られる
 (「どうせ○○(私)なんて」・「どうせ私が悪いんだろう」・「自分は嫌われ者だ」・「死にたい」等)
□ 甘える時など、突然大人に対して赤ちゃん言葉を使う

保護者の様子

保護者の
養育態度に
関すること
□ 子どもの養育に関して拒否的、無関心、または場当たり的である
 (子どもに季節にそぐわない服装をさせている等)
□ 理由をつけて欠席させることが多い
□ 子どもが泣いてもあやさない
□ 子どもへの対応で叱ったり、ののしったりすることが多い
□ 子どもが言うことを聞かないと感情的になり、人前で暴力をふるうことがある
□ 怒り出すとコントロールができなくなる
□ 体罰を肯定している
□ きょうだいの間に養育態度の差がある
□ 子どもの抱き方が不自然である
□ 予防接種・健康診断・医療的処置を受けさせていない
□ 母子健康手帳にほとんど記入がない(定期健診を受けていない)
保護者の言動に
関すること
□ 保護者が「死にたい・殺したい・心中したい」などと言うことがある
□ 子どもが受けた外傷や状況と保護者の説明につじつまが合わない
□ 自分のことばかり話す
 (自身の窮状は訴えるものの、子どもへの関与は拒否的もしくは無関心である)
□ 子どもの育てにくさをよく訴える
保護者との会話で
推察される状況
□ 現状を改善するつもりがない
□ 働く意思がない
□ 子育てにストレスを感じている(過干渉も含む)
□ 自身が生育歴を不幸に感じている
□ 子どもに求める姿(理想像)と実際の子どもの姿に大きなズレがある
  (子どもの状態を受け入れようとしない)
保護者の対人関係に
関すること
□ 保育園・幼稚園に対して非協力的であったり、批判的態度をとったりする
□ 面談を拒む
□ 決められた時間に迎えに来ないで、連絡がつかないことがよくある
□ 対人関係が敵対的で、よくトラブルを起こしている

生活環境

家庭環境に
関すること
□ 家庭内が著しく不衛生である
□ 家庭内に著しい不和・対立がある
□ 家庭の経済状況が不安定である
ネットワークに
関すること
□ 家族・子どもの所在がわからなくなることがある
□ 転居を繰り返している
□ 地域や家族、親戚などから孤立している
□ 「家庭」がわかりにくい(働き先が変わる、家族構成が不明である等)
□ 連絡がとりにくい

備考

家族構成、在園期間、その他子どものことで補足しておきたいことがあれば自由に記入しておきましょう 。

 

 

 

 


評価の方法について

評価用紙に記入するに当たって

チェックを入れた項目を参考にして、状況を点数化して記入しましょう。

評価用紙(1)について

  • 点数は項目ごとのチェックした数で機械的に決まるものではありません。
    生命の危険が想定される場合などは、チェックが少なくても高い点数となります。
  • まず担任が評価を記入して下さい。
    担任だけで評価が難しい場合は、他の職員や園長・主任と相談しながら、可能な範囲で記入し、いずれの場合にも園としての評価をしてください。
  • どうしても評価が難しい場合は、関係機関にその理由を伝えて相談しましょう。
  • 評価が難しい場合も、「支援の方向」の欄には考えられる範囲で記入しましょう。
  • 経過観察をするために、3ヶ月から6ヶ月を目安にして、一定の期間をおいてチェックし、評価用紙(1)に記入しましょう。

評価用紙(2)について

  • 一定の期間をおいてチェックした評価(1)の点数を書き写し、一見して経過が分かるようにしましょう。
  • ケースによっては短期間に変化が見られるときもあります。気になる場合は必要に応じてこまめに経過を観察しましょう。

 

★チェックリストの印刷はこちらをクリックしてください。★★★→→チェックリスト.pdf

ページ上部へ